兵庫県初の『透析患者さんに対するTAVI実施施設』に認定されました。大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療 TAVI

Transcatheter Aortic Valve Implantation;TAVI経カテーテル的大動脈弁留置術

TAVI(タビ)とはカテーテルを使って人工弁を

患者さんの狭くなった大動脈弁の中に留置する

手術法で、従来の手術と異なり心臓を止めずに

治療可能で、体への負担が軽いのが魅力です。

更に当院においてはほとんどの症例で

局所麻酔で1cm未満の傷で治療する『超』低侵襲TAVIが可能です。

TAVIはこれまで透析患者さんについては対象外とされてきましたが、エドワーズ社製のSAPIEN3弁が2021年初旬に国内で適応認可を受けました。しかしながら実施するための施設基準はハードルが高く、当初は近畿圏では3施設限定での開始となり、9月末の時点でも4施設のみで、残念ながら兵庫県には認可施設は存在しませんでした。このたび10月に当院が兵庫県で最初の透析患者さん対するTAVI実施施設に認定され、11月には複数名の患者さんの治療に成功しております。

当面の期間は当院が県内で唯一の実施可能施設となりますので、今回の認可は県民の健康を守ることを最大の目的とする県立病院として大きな意義があるとともに、大きな責任も感じています。今後は阪神地区のみならず県内広域から患者さんを受け入れる体制作りを進めてまいります。

[2023年5月1日 追記]
透析症例に対するTAVIは難度が高く、実施認定の取得には高いハードルがあることから、当院が認定を受けてから1年半経過した2023年5月1日の時点においても、兵庫県内での認定施設は当院のみです。そのために透析症例の集約化が生じ、全国でも指折りの透析症例経験を積み、多くのノウハウを得ました。

当院は2020年1月に兵庫県初の『TAVI専門施設』として認定され、その後もハートチーム一丸となり邁進を続けてきました。今後も更に質の高いTAVIを求めて改良を続けたいと思います。

各担当医からのコメント

同じ時期にSAPIEN3弁のプロクターに選出されました。プロクターとは自施設だけでなく他施設での手術指導を認可された医師であり、全国でも少数で兵庫県では1人だけです。今後当院はもちろん国内全域での本治療の発展・普及に尽力いたします。

TAVI指導医 - 循環器内科部長 当麻 正直

透析患者さんは大動脈弁や全身血管の石灰付着のためにTAVIのリスクが高いとされますが、術前・術中・術後のエコーやCT画像を詳細に分析することで安全な治療が提供できるよう全力でサポートいたします。

TAVI画像解析責任者 - 循環器内科部長 宮本 忠司

透析患者さんは血管性状が悪いことが多く、TAVIの基本となる鼠径部からの人工弁挿入が困難な場合がありますが、その時は心臓血管外科が他部位を小切開して挿入部位を確保し治療を可能にしますので、おまかせください。

心臓血管外科部長 田村 暢成

透析患者さんは重症な方が多いですが、TAVI術中の全身管理は我々麻酔科医が全力で対応させていただきます。痛みを感じず、知らない間に終わっているよう管理しますので、ご安心ください。

TAVI担当麻酔科医 - 麻酔科医長 岡澤 佑樹、至田 雄、前川 俊

透析患者さんにとって大動脈弁狭窄症は透析困難の原因となる困った病気であり、カテーテル治療が可能となったことは大きな福音かと思います。手術前後の透析管理は我々腎臓内科ならびに透析センターにおまかせください。

腎臓内科部長 竹岡 浩也