咽喉頭がんの根治と機能温存を両立させる『低侵襲内視鏡下経口的手術』

咽喉頭がんの根治と機能温存を両立させる『低侵襲内視鏡下経口的手術』

咽喉頭がんについて

頭頸部の解剖図

頭頸部の解剖

咽喉頭(咽頭や喉頭のいわゆる『のど』)は食事の飲み込みや呼吸、発声など、人が生きていくうえで非常に重要な役割を果たしています。そのため、咽頭がんや喉頭がんの治療では、がんを治すだけでなく、治療後の生活を考えて飲み込みや発声の機能をいかに残せるかも重要です。

咽頭がんや喉頭がんの治療には手術と放射線治療があります。以前は首の皮膚を切って外側からがんを切除する手術が広く行われてきましたが、近年はのどを温存するために放射線治療(あるいは抗がん剤を併用した化学放射線治療)が多くの施設で行われています。のどを残しながらがんを治療するという点で有効な治療法ですが、放射線治療には副作用があり時に深刻な問題が起こります。放射線治療により正常な組織が障害されることで、口の中がカラカラに乾いたり、食べ物がうまく飲み込めなくなったり、誤嚥(食事が気管に入ること)を繰り返したりして、たとえがんが治ったとしても口から食べることができなくなったり誤嚥性肺炎で命を落とすケースもあります。また治療期間が長くかかる(約7週間)のもデメリットです。

内視鏡下経口的手術

内視鏡下経口的手術中の様子

そこで当院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、できるだけ飲み込みや発声の機能を残しつつがんを根治することを目的として、内視鏡を用いて口からがんを切除する内視鏡下経口的手術を積極的に行っています。すべての操作を口から行うため、皮膚に傷をつけずに手術を行うことができ、必要最低限の範囲でがんを切除するため、手術後の飲み込みや発声の機能低下をおさえることができます。また治療期間も放射線治療に比べて短く(約2週間)、早期に社会復帰可能です。ただし、すべての咽頭がんや喉頭がんにこの手術が適応というわけではなく、進行度合いによっては頸部外切開による拡大手術や放射線治療(あるいは化学放射線治療)を選択した方がいいこともありますので、患者さまと十分に相談のうえ治療方針を決めさせていただきます。

当科での実際の治療例

①65歳男性の下咽頭がん画面

①65歳男性の下咽頭がん

②がんの切除線を設定

②がんの切除線を設定

③電気メスなどで切除を進める

③電気メスなどで切除を進める

④切除後。この後2年経過しがんの再発なし、通常の食事・発声が可能

④切除後。この後2年経過しがんの再発なし、通常の食事・発声が可能

手術チーム

手術チーム 集合写真

住友Ns. 高見Ns. 隈部Dr. 大槻Dr. 初川Dr. 大野呂Dr. 福田Dr.
西村Dr. 藤堂Ns. 佐々木Ns. 吉田Ns. 関Dr.

受診を希望される方へ

受診を希望される場合、当院の地域医療連携センターを通して、頭頸部がん診療の窓口となる『頭頸部外科外来』(毎週月・木/担当:隈部)の受診予約をお取りください。詳細は兵庫県立尼崎総合医療センターホームページの『医療関係の方へ』をご参照ください。

連絡先:兵庫県立総合医療センター 地域医療連携センター
電話:06-6480-7720(直通) FAX:06-6480-7721(直通)