心室中隔欠損は自然閉鎖する? 大きさとの関係は?

心室中隔欠損は自然閉鎖する?

心室中隔欠損の自然閉鎖の確率は一般的に50~60%と言われています。

自然閉鎖の誘因

自然閉鎖の誘因としては、

  • あなの周囲の結合組織の収縮や炎症
  • 中隔筋肉の肥厚
  • 欠損縁への血流の刺激

などが挙げられていますが、確実なものはありません。

自然閉鎖は1~2歳の間に高い確率で起こり、その後は閉鎖の確率は低下しますが、成人に達した後に閉鎖することも稀にあります。あなのサイズやあなの場所によって血液の流れも異なるため、症状の現れ方や自然閉鎖傾向、治療法も異なってきます。

1mm、2mmといった小さいあなの方が自然閉鎖はおこりやすく、あなの場所では、膜様部欠損で12.5%、筋性部欠損で42%が自然閉鎖すると言われています。

流入部型や漏斗部型は、自然閉鎖はしにくいと言われています。自然閉鎖しない場合や、自然閉鎖傾向にない場合は手術を計画します。また、大動脈弁の変形や心不全症状がある場合等は自然閉鎖を待たずに手術を行います。

自然閉鎖するかどうかは定期的に診察・エコー検査で評価します。

心室中隔欠損の大きさは関係ある?

心室中隔欠損の大きさはエコー検査で測定します。先生に「あなは4ミリです」と言われたけどそれって大きいの?と疑問を抱くご両親もいらっしゃるでしょう。

心室中隔欠損のあなが何ミリだと大きいのかは、体格によっても変わってくるため、評価の仕方がいろいろあります。

心室中隔欠損のサイズだけで評価する場合、3mm未満のあなをsmall(小さい・小欠損)、3mm~5mmのあなをmedium(中くらい・中欠損)、5mm以上のあなをlarge(大きい・大欠損)とする方法があります。この場合、4mmのあなは中欠損となります。

大動脈弁の径と比較する方法では、大動脈弁輪径の1/3未満のものをsmall(小さい・小欠損)、大動脈弁輪径の1/3~2/3のものをmedium(中くらい・中欠損)、大動脈弁輪径と同等サイズのものをlarge(大きい・大欠損)とします。その他、症状や心室中隔欠損を通る血流の量、カテーテル検査等をあわせて重症度を決めます。

小欠損は無症状であり、乳児健診などで心雑音を契機に発見されることが多いです。中欠損は、無症状の方から哺乳不良・発育不良など様々な症状(「心室中隔欠損の症状、手術はどんなもの?」で詳しく説明しています)を示す方もいます。

大欠損では、心雑音に加え、通常生後1~2ヵ月前後に

  • 呼吸が短く荒い
  • ミルクを飲む量が減り体重が増えない
  • 汗をかきやすい
  • 寝汗をかく
  • 手足がつめたい
  • 哺乳後の呼吸が荒くなる

などの症状があらわれます。また、風邪をひきやすく気管支炎や肺炎などを繰り返す場合もあります。

中欠損以上であってもあなの場所によっては自然閉鎖が期待できることもありますが、心不全症状が軽快した場合、自然縮小以外に、大動脈弁の変形や肺高血圧の進行など実際には悪化している場合もあり注意が必要です。

心室中隔欠損がどの部位にあり、どの程度の大きさなのか、しっかりと診察を受けることが重要です。

当院には小児科、心臓外科に先天性心疾患を専門とするチームがあり、心室中隔欠損の専門的な診療を行っています。また、メールでの問い合わせも受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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