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重症筋無力症(MG)

基礎知識と療養のポイント

監修;兵庫県立尼崎総合医療センター 脳神経内科
2020.03

1. 重症筋無力症(MG)どんな病気?

重症筋無力症(myasthenia gravis:MG)とは、眼球や手足の筋肉を繰り返し動かしていると筋肉がすぐに疲れて、力が入らなくなる病気です。 筋肉は、神経筋接合部(運動神経の末端と筋肉が結合するすきまの部分)の神経終末から筋肉へアセチルコリンが放出されることで、脳からの指令が筋肉へ伝わり運動を開始します。 重症筋無力症では筋肉の表面にあるアセチルコリンの受け皿(アセチルコリン受容体)に対する抗体が免疫の異常によりつくられ、この抗体がアセチルコリンと受け皿(アセチルコリン受容体)の結合をブロックしてしまいます。この抗体を抗アセチルコリン受容体抗体と呼びます。このようにして神経筋接合部での伝達が障害されると、脳の指令が運動神経から筋肉へうまく伝わらなくなり、筋肉が十分に収縮せず、筋力の低下がおこります。

図1:神経筋接合部の伝達
(上) 正常な神経筋接合部の伝達(下) 重症筋無力症における神経筋接合部の異常な伝達:抗アセチルコリン受容体抗体(抗ACh受容体抗体)によってアセチルコリン(ACh)とアセチルコリン受容体(ACh受容体)との結合が阻害される。

また近年、抗アセチルコリン受容体抗体とは別に、アセチルコリン受容体の集合に重要な働きをもつ筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)に対する抗体(抗MuSK抗体)を持つ患者さんがいることがわかりました。さらに第3の抗体として、LDL受容体関連蛋白(Lrp4)に対する自己抗体が明らかになっていますが、これは重症筋無力症以外でも陽性になることがあり、その意義については検討を要します。

重症筋無力症はこれらの抗体により発症する自己免疫疾患と言えますが、中にはどの抗体も陰性の患者さんもあり、未知の抗体の存在が予想されています。

2.重症筋無力症(MG)の疫学

国内に約20,000人の患者さんがいます。好発年齢は小児、20~30歳、50~60歳です。女性の方が男性より2倍ほど患者数が多いとされています。近年は男女ともに50歳以上で発症する後期発症重症筋無力症の患者さんが増加しています。

重症筋無力症の患者さんの長期的な予後は免疫療法などの治療法の普及により改善しました。完全に落ち着いた状態に至る率は20%未満ですが、生活や仕事に支障がない状態までを含めると50%を超えるといわれています。

3.重症筋無力症(MG)の症状

眼球や手足の筋肉を繰り返し動かしていると、筋肉がすぐに疲れて(易疲労性)力が入らなくなってしまいます。つまり、反復する運動で症状が悪化します。一旦、休むと力が回復してきます。症状は一般的に朝は軽度ですが、夕方になると増悪しやすいといわれています。重度になると症状が固定して、変動が目立たないことがあります。

障害される筋肉の部位により眼筋型と全身型に分けられます。

タイプ特徴
眼筋型 筋力低下が目に関係する筋肉にのみ出現します。眼球を動かす力が低下すると、複視(両眼で見た時にものがだぶって二重に見える)が生じます。眼瞼挙上筋(まぶたを上にあげる筋肉)の力が低下すると、眼瞼下垂(上まぶたが垂れて目がふさがること)をきたします。
全身型 筋力低下が全身の筋におよびます。眼筋型の症状に加え食べものを噛みにくい、飲みこみにくい、しゃべりにくい、首が下がる、手足の筋力低下(腕を上げづらい、階段を上りにくい)などの症状をきたします。重症例では呼吸筋の麻痺のため肺活量が低下し、呼吸が困難になります。全身型と呼ばれますが、必ずしもこれらのすべての症状が出現するわけではありません。

全体では初発症状の中で多いのは複視、眼瞼下垂など目の症状です。

全身型の中には例外的に飲み込みにくい、呼吸困難などで発症するタイプがあります。

抗MuSK抗体陽性患者は特に顔面や頚部の筋力低下、嚥下障害、構音障害が症状の中心で、突然の呼吸困難(クリーゼ)に陥りやすい特徴があります。

全ての重症筋無力症患者の約半数が眼筋型として発症し、そのうちの約半数が発症2年以内に眼筋型から全身型に移行するといわれています。

クリーゼ

重症筋無力症では感染症、手術、ストレスなどの誘因によって急速に呼吸困難をきたし、呼吸不全に陥り、緊急の入院治療を必要とすることがあります(筋無力性クリーゼ)。

クリーゼに陥った場合、直ちに呼吸管理を行います。場合によっては気管内挿管や人工呼吸器装着が必要になります。

4.重症筋無力症(MG)の検査

① 血液検査

血液検査を行い、重症筋無力症に特異的な抗体を測定します。

前述の抗アセチルコリン受容体抗体は、重症筋無力症全体の約80%、眼筋型の約50%、全身型の約80%で陽性となります。

抗アセチルコリン受容体抗体陰性例の約15%で、前述の抗MuSK抗体が陽性となります。

② テンシロン試験(エドロフォニウム試験)

超短時間作用型のコリンエステラーゼ阻害薬であるテンシロン®(塩化エドロフォニウム)をゆっくり静脈注射します。重症筋無力症であれば筋力が一時的にですが回復し、眼瞼下垂や複視の改善を認めます。薬剤の効果は超短時間であるため、治療薬としては使えませんが、本症の診断に役立ちます。

③ アイスパック試験

冷凍したアイスパックをガーゼなどで包み、3~5分間、下垂した上まぶたに強く押し当てると、一時的ですが上まぶたが挙がるようになります。筋肉を冷やすことにより、神経筋接合部の伝達が改善したためで、テンシロンテストと同じように診断に役立つ、簡易なテストです。

④ 筋電図

運動神経を電気で刺激すると筋肉が反応して収縮します。短い間隔で連続して運動神経に電気刺激を与えた場合、通常は筋肉の反応は変化しませんが、重症筋無力症では筋肉が疲れやすいため、次第に収縮力が低下してきます(図2)。低頻度反復刺激誘発筋電図とも呼ばれています。

図2:筋電図検査(低頻度反復刺激誘発筋電図)
正常(左)では運動神経を電気で連続して10回刺激しても筋肉の反応(山の大きさ)に変化はありませんが、重症筋無力症(右)では2回目の刺激以降、筋肉の反応が急速に低下(減衰)します。
⑤ 胸部CT、MRI

重症筋無力症患者の約15~20%で胸腺腫(図3)を合併します。

図3:胸骨の裏側、前縦隔に発生する胸腺腫(胸部CT)

5.重症筋無力症の診断基準

下記のA、Bを対象とする
①症状

以下の自他覚的症状があり、易疲労性と日内変動を伴うこと

  • 1)眼瞼下垂
  • 2)眼球運動障害
  • 3)顔面筋筋力低下
  • 4)構音障害
  • 5)嚥下障害
  • 6)咀嚼障害
  • 7)頸筋筋力低下
  • 8)四肢・体幹筋力低下
  • 9)呼吸障害
②検査所見

以下の自己抗体のいずれかが陽性であること

  • 1)抗アセチルコリン受容体抗体
  • 2)抗筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)抗体
③生理学的所見

以下の検査のいずれかにより神経筋接合部障害を示す生理学的所見があること

  • 1)低頻度反復刺激誘発筋電図
  • 2)エドロフォニウム試験(眼球運動障害、低頻度反復刺激誘発筋電図などの客観的な指標を用いて評価すること)
  • 3)単線維筋電図
④鑑別診断

眼筋麻痺、四肢筋力低下、嚥下・呼吸障害をきたす疾患は全て鑑別の対象になる。

ランバート・イートン筋無力症候群、筋ジストロフィー(ベッカー型、肢帯型、顔面肩甲上腕型)、多発性筋炎、周期性四肢麻痺、甲状腺機能亢進症、ミトコンドリア脳筋症、慢性進行性外眼筋麻痺、ギラン・バレー症候群、多発性神経炎、動眼神経麻痺、トロサ・ハント(Tolosa-Hunt)症候群、脳幹部腫瘍・血管障害、脳幹脳炎、単純ヘルペス・その他のウイルス性脳炎、脳底部髄膜炎、側頭動脈炎、ウェルニッケ脳症、リー脳症、糖尿病性外眼筋麻痺、血管炎、神経ベーチェット病、サルコイドーシス、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎、フィッシャー症候群、先天性筋無力症候群、先天性ミオパチー、眼瞼皮膚弛緩症、ミオトニー、眼瞼痙攣、開眼失行、筋萎縮性側索硬化症、ボツリヌス症

⑤診断のカテゴリー
  • A:①症状の1項目以上と②検査所見のいずれをみたす場合
  • B:①症状の1項目以上と③生理学的所見のいずれをみたす場合で、④鑑別診断の疾患が鑑別できる(②検査所見をみたさないことが前提条件)
~重症筋無力症の重症度分類~

特定医療費(指定難病)の支給認定申請をし、医療費助成を受けるには、さらに下記の重症度分類を満たす必要があります。

【MGFA clinical classification】

ClassⅠ以上の重症度を対象とする

ClassⅠ 眼筋型、眼輪筋の筋力低下も含む。
他の全ての筋力は正常
ClassⅡ 眼以外の筋の軽度の筋力低下
眼の症状の程度は問わない
Ⅱa 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
Ⅱb 四肢・体軸口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
ClassⅢ 眼以外の筋の中等度の筋力低下
眼の症状の程度は問わない
Ⅲa 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
Ⅲb 四肢・体軸口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
ClassⅣ 眼以外の筋の高度の筋力低下
眼の症状の程度は問わない
Ⅳa 四肢・体軸>口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
Ⅳb 四肢・体軸口腔・咽頭・呼吸筋の筋力低下
ClassⅤ 気管挿管されている者、人工呼吸器装着の有無は問わない
眼の症状の程度は問わない
(通常の術後管理として、挿管されている場合は、この分類に入れない。
気管挿管はなく、経管栄養チューブを挿入している場合は Class Ⅳbに分類する)

診断基準及び重症度分類の適応における留意事項

  1. 病名診断に用いる臨床症状、検査所見等に関して、診断基準上に特段の規定がない場合には、いずれの時期のものを用いても差し支えない(ただし、当該疾病の経過を示す臨床症状等であって、確認可能なものに限る)
  2. 治療開始後における重症度分類については、適切な医学的管理の下で治療が行われている状態であって、直近6か月間で最も悪い状態を医師が判断することとする
  3. なお、症状の程度が上記の重症度分類で一定以上に該当しない者であるが、高額な医療を継続することが必要なものについては、医療費助成の対象とする

6.重症筋無力症の治療

大きく分けて、以下の7通りの治療法が現時点で考えられています。

治療法機序、目的、対象、使用法と副作用/合併症
①コリンエステラーゼ阻害薬アセチルコリンを分解するコリンエステラーゼの働きを阻害することにより、神経筋接合部でのアセチルコリンの濃度が高まり、筋無力症状が改善します。根本治療ではなく、対症療法になります。最初に使われることが多い薬ですが、単独での改善はむずかしく、③や④の免疫療法と併用されます。
メスチノン、マイテラーゼ、ウブレチドなどの内服薬が昔からあり、効果や作用時間の特徴より副作用がでにくいメスチノンがよく使われます。副作用として腹痛、下痢、流涎、発汗、徐脈、血圧低下、筋のぴくつきなどがあります。
②拡大胸腺摘除術胸腺は小児期においては免疫の確立に必要な臓器ですが、成人になると次第に退縮します。重症筋無力症において胸腺は自己抗体の産生を始め、病気の発症に関わります。さらに胸腺の腫瘍(胸腺腫)を合併している場合、胸腺腫は重症筋無力症を引き起こす原因の1つと考えられているため、胸腺腫と残存する胸腺をできる限りすべて取り除く手術(拡大胸腺摘除術)を行います。このようにして自己抗体の産生を抑えます。胸腺腫に対しては場合により、放射線療法や化学療法を加えます。胸腺腫がない場合に拡大胸腺摘除術を行うかは検討を要します。
③副腎皮質ステロイド基本的な免疫療法です。自己抗体の産生に関わる自己免疫反応を抑制することで、神経から筋肉への伝達がスムーズになります。通常、経口プレドニゾロン5~10㎎/日の内服から開始し、できるだけ早期に5㎎/日以下で安定した状態に到達することを目標とします。そのために他の免疫療法を組み合わせることが必要になります。導入時のステロイド内服の量が多いと一過性に筋無力症状が悪化することがあります(初期増悪)。メチルプレドニゾロンの静脈大量投与(通常、500~1000㎎/日、3日間。パルス療法)は有効ですが、初期増悪や球麻痺症状の悪化に注意することが重要です。副作用として易感染性、糖尿病、骨粗鬆症(圧迫骨折や骨壊死)、脂質異常、胃潰瘍、白内障、緑内障などがあります。
④免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)自己抗体の産生に関わる自己免疫反応を抑制します。ステロイドと併用します。
病気の初期から積極的に使用することで、筋力を改善する効果とステロイドの減量効果が期待できます。シクロスポリン、タクロリムスがよく使用されています。
通常の使用量はシクロスポリンが1日量5㎎/㎏ 1日2回、タクロリムスが1回3㎎1日1回夕食後です。
以下の副作用があるため、注意を要します。
  • シクロスポリンの副作用・・・感染症、血圧上昇、血糖上昇、歯肉の肥厚、多毛など
  • タクロリムスの副作用・・・感染症、血糖上昇、白血球の増加、筋の痙攣など
⑤免疫グロブリン療法自己抗体の作用を抑えたり、抗体の産生を抑制すると考えられています。急性増悪例、クリーゼを引き起こした例に使用し、軽症例や眼筋型には使用しません。通常、5日間連続の点滴をおこないます。一時的な合併症として頭痛や発熱、軽症高血圧などがあります。血液が濃くなりやすいため、ゆっくり点滴します。脳梗塞や心筋梗塞など、血管の病気の既往がある患者さんは注意が必要です。
⑥血液浄化療法人工透析のような装置を使用して、血中から抗アセチルコリン受容体抗体などの自己抗体を除去します。⑤と同様に急性増悪例、クリーゼを引き起こした例に使用します。血液を体外に取り出し、浄化した後に体内に戻す方法で、1クールあたり5~7回実施します。血管にカテーテルという管を入れておくために、出血・血栓、感染などの合併症があります。また血液を体外に取り出す際に、低血圧や気分不良、呼吸困難などがおこることがあります。
⑦補体阻害薬体がもともと持っている免疫システムの1つに補体系があります。補体系が活性化することにより、神経と筋肉の接合部が破壊されてしまいます。補体阻害薬は活性化している補体の一部と結合して、その活動を止めることで症状を改善します。2017年から抗アセチルコリン受容体抗体陽性の全身型の患者さんに対して上記①~⑥の治療で効果がみられない場合に、補体阻害薬であるエクリズマブを使用することが可能になりました。なお、この薬を使用している間は髄膜炎菌など特定の種類の細菌に感染しやすくなる可能性があるため、治療開始前に髄膜炎菌に対するワクチンを接種する必要があります。
胸腺腫がある場合

原則的に胸腺腫を摘除する手術と拡大胸腺摘除術が第一選択薬になります。場合により、放射線治療や化学療法を併せて行います。その後は状態により、①③④を検討します。

胸腺腫がない全身型の場合

③で述べたように通常、経口プレドニゾロン5~10㎎/日の内服から開始し、できるだけ早期に5㎎/日以下で安定した状態に到達することを目標とします。そのために他の免疫療法を組み合わせることが必要になります。一つの方法として④の免疫抑制薬(カルシニューリン阻害薬)を早期から併用します。胸腺摘除は発症年齢が若く、発症からの期間が短い場合に検討することがあります。

眼筋型の場合

コリンエステラーゼ阻害剤を使用し、効果が不十分ならステロイドの内服を検討します。速効性があること、ステロイドの初期増悪を心配する必要がないことから、ステロイドパルス療法を行うこともあります。眼筋型に見えても全身型に移行した場合は早めにステロイドなどの免疫療法を行います。

抗MuSK抗体陽性の場合

胸腺摘除術は推奨されていません。胸腺腫を合併しにくいといわれます。抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症に比べてコリンエステラーゼ阻害剤の効果が乏しく、悪化例もあるとされます。嚥下障害やクリーゼになりやすいため、当初よりステロイドと免疫抑制剤を使い、症状が悪化した場合は免疫グロブリン療法、血液浄化療法を行います。

急速進行例、難治例、クリーゼの場合

ステロイドパルス療法、免疫グロブリン療法、血液浄化療法を検討します。

さらに難治の場合、
または他の治療方法で効果がみられない場合

⑦の投与を検討します。

7.妊娠・出産時の注意点

①妊娠・出産が重症筋無力症の経過に与える影響

妊娠により3分の1の患者で症状が悪化する、時期は妊娠3か月までと出産後が多いとされます。

②重症筋無力症が出産に与える影響

経腟分娩時に分娩が長くなることがあります。

③新生児への影響

重症筋無力症の母親から生まれた新生児の10~30%に一過性の無力症症状が出現します。全身の筋力、泣き声、哺乳力の低下などをきたします。症状は一時的なものですが、重度の時は治療を行います。抗アセチルコリン受容体抗体、抗MuSK抗体、いずれの抗体陽性の場合においてもおこることがあります。

8.日常生活の注意点

体力を消耗し、疲労感が残るような状況は、重症筋無力症の症状を悪化させます。症状を増悪させるリスクには以下の因子があります。

  • ストレス
  • 感染
  • 外傷
  • 手術
  • 月経、妊娠
  • 特定の薬剤(一部の抗生物質、睡眠薬や精神安定剤、向精神薬、麻酔薬、抗不整脈薬など)

「7.妊娠・出産時の注意点」や以下のことを参考にして、できるだけリスクを避ける生活を心掛けましょう。

  • 薬の副作用に注意しましょう。血糖値が上がる薬が多いので、体重や食事に注意しましょう。感染症にかかりやすくなりますので、流行期には人込みを避ける、手洗いをこまめにする、などして身を守りましょう。妊娠や授乳に関する薬剤の影響については事前に主治医にご相談ください。
  • ワクチン接種についてはインフルエンザなどの予防接種は状態が落ち着いていれば積極的に受けることをお勧めしますが、ステロイドなどの内服薬によってはワクチンの効果が弱くなることがあります。ワクチンに関しては事前に主治医と相談しましょう。
  • 適度な運動は体力の維持やストレスの解消に役立ちます。ストレッチ、ウォーキングなどがお勧めです。無理のない程度にやってみましょう。

9.安心した生活を送るために

重症筋無力症は治療の選択肢が増えたとは言え、再発のリスクがあり、新しい薬についても注意すべき副作用や合併症があります。そのため、落ち着いているようであっても、定期的な受診を継続していくことが大切です。また、この病気は、若い世代の患者さんが多いため、進学・就労・結婚・妊娠/出産などに際して、いろいろと心配や不安もでてきます。利用できる制度については、以下を参考にしてください。現在の身体の機能と生活の質を少しでも維持できるよう、こうしたサービスの利用が望まれます。主治医、看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、お住いの市町村の窓口や保健所(健康福祉事務所)、難病相談センター、ハローワーク、患者会などに相談しましょう。

制度等内容
特定医療費(指定難病)の支給

(窓口)
住民票のある地域の保健所、健康福祉事務所
重症筋無力症は難病法の定める指定難病の1つです。保健所に申請をして、その診断基準と重症度分類をみたすと、特定医療費(指定難病)受給者証が交付され、所得に応じて医療費の一部が助成されます。重症度分類をみたさなくても月ごとの指定難病に関する医療費の合計が一定額以上の月が1年に3ヶ月以上ある場合は、軽症者特例として医療費が助成されます。受給者証は1年おきに更新が必要です。
介護保険制度

(窓口)
市町の介護保険担当課等
介護保険は、65歳以上(1号保険者)が対象です。介護度に応じて、居宅サービス、施設入所サービス、福祉用具のレンタルなどを受けることができます。65歳未満の重症筋無力症の患者さんは介護保険のサービスを受けることができません。
身体障害者手帳の交付

(窓口)
市町の障害福祉担当課
身体障害手帳は障害の種類、程度に応じて申請できます。認定された場合、その等級に応じた福祉サービスを受けることができます。現在の障害が申請できる状態なのか、主治医と相談しましょう。
障害者総合支援法の障害福祉サービス

(窓口)
市町の障害福祉担当課
障害者総合支援法により、重症筋無力症の患者さんでサービスが必要と認められた方には障害福祉サービス等を給付されるようになりました。居宅介護や重度訪問介護などのサービスがあります。身体障害手帳を持っていなくても給付可能ですが、受けられるサービスは障害支援区分で決まり、また市町村によってもサービスの内容が異なります。
就労サポート

(窓口)
ハローワーク尼崎専門援助部門
難病のある方の就労支援のため、ハローワーク(尼崎・神戸・姫路)に難病患者就職サポーターが配置されています。兵庫県難病相談センター、神戸市難病相談支援センターへの出張相談もあります。
患者会

重症筋無力症の患者さんの友の会があります。講演・相談会や交流会、機関誌の発行などの活動をされています。

一般社団法人 全国重症筋無力症友の会 兵庫支部

代表 河瀬 裕子
TEL:072-766-7504

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