科長ご挨拶

兵庫県立尼崎総合医療センター泌尿器科部長・科長 山田裕二よりご挨拶

泌尿器科では尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)、男性生殖器(前立腺、陰茎および精巣など陰嚢内容)の疾患、副腎、後腹膜腫瘍、尿膜管疾患に対する診断、治療を行っています。

当科では男性不妊、腎移植を除いた泌尿器科全般の診断・治療にあたっています。2023年もコロナによる病床制限がありましたが、年間手術件数は約1200件(前立腺生検299件、ESWL31件を含む)と、例年同様の診療実績を維持することができました。泌尿器科領域については2022年にロボット支援腎(尿管)悪性腫瘍手術等の術式が新たに保険収載され、ロボット手術の適応がさらに拡大しました。当科でも2023年からロボット支援腎(尿管)悪性腫瘍手術を開始しており、2023年のロボット手術の総件数は132件と増加しました。2023年7月以降は腎(尿管)、膀胱、前立腺悪性腫瘍手術のほぼ全例をロボット手術で行っております。

前立腺癌診断についてはMRIで前立腺癌を疑う所見があればMRI融合前立腺生検を行っています。その結果前立腺生検での癌陽性率は約60%に向上し、不必要な生検が回避できるようになっています。

筋層非浸潤性膀胱癌に対しては光線力学診断補助下(PDD併用)での経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っており、膀胱癌再発の予防効果が期待されます。

良性疾患では、尿路結石症、前立腺肥大症に対する手術を多数行っています。尿路結石に対してはドルニエ社デルタⅡを用いた体外衝撃波砕石装置(ESWL)を備え、内視鏡手術としては、軟性尿管鏡を用いたレーザー砕石術(fTUL)、細径腎盂鏡による経皮的腎尿管結石砕石術(miniPNL)およびf TUL併用PNL(ECIRS)も施行しています。前立腺肥大症に対する手術は従来から主に経尿道的レーザー前立腺核出術(HoLEP)を行っていますが、高齢の方あるいは合併症のため手術リスクの高い患者さんに対してはより侵襲の少ない経尿道的前立腺水蒸気療法(WAVE; REZUMシステム)も行っております。また尿膜管疾患に対しては整容性を重視した単孔式腹腔鏡手術を行っています。

地域の中核病院として、スタッフ全ての技量・知力をもって診療を行い最先端の医療技術で治療するだけでなく、患者様のQOLを重視し、その人にあった最適な治療を行うことをモットーとしています。

※専門医教育病院として、日本泌尿器科学会の認定を受けています。